(以下敬称略)
佐藤拓也 真田亮司役の佐藤拓也です。
約2年ぶりの収録ということで、掛け合いの中で感じたのは……真田君の暴走しがちな愛みたいなものを鹿嶋君が「全部受け止めて聞いてくれる」ということですかね。
こっち(真田)が剛速球を投げつけるんですけど、それをうまーく包んでくれる鹿嶋君のキャラクターだったり、古川君のお芝居でどんどんどんどん面白さが積み重なっていって。
体感時間としては「あっもう終わっちゃった」みたいな感じで、凄く楽しく演じさせていただいて、キャラを作らせていただいたな、と。
佐藤 ほんとに鹿嶋って、真田からすると“暖簾に腕押し”のような男ですよね、ほんとに(笑)。
古川 そう、真田君が勝手にテンパっちゃってる(笑)。
佐藤 そうなんですよね(笑)。
古川慎 ということで、鹿嶋幸役の古川慎です。
鹿嶋を演じさせていただくのが2年ぶりということで、僕の声帯もだいぶ成熟してしまいまして……。鹿嶋の声のトーンを見つけていくところからが、今回の作品のスタートでした。
真田役の佐藤さんが大きなアタックやアプローチをしてくれて、それを不良ヤンキー感のだいぶ薄まった鹿嶋がどのようにして対応するかも考えつつ演じました。
(鹿嶋が)物事を俯瞰で見るのを覚えたことで「あ、自分のことか」と気付いたり。今までが自分の快楽のため・自分の求めている刺激のために動いていた彼が、今回の作品ではしっかりと「真田の抱えている、真田が伝えてくれている想い」をちゃんと整理して、理解して、納得するようになれた。
そういう意味では、作品自体の方向転換というか、グラデーションを一緒に作れていけたのが凄く楽しかったなと思いますね。
何より、声を張り上げて全力でコメディーから真剣なシーンまで演じてくださった佐藤さんのお芝居には頭が上がらないです。本当にありがとうございます!
佐藤 いえいえ、共同作業でございます。
佐藤 えー! すげぇ恥ずかしいっすね!(笑)
そうですね……お芝居をするにあたって、どうしても昨今、自家発電(個人)でもって世界を構築して、それをアウトプット(収録)する、ということが多くなってきてしまっているんですね。
ゆえに前回の収録はそれぞれ別個だったんですけど、今回は二人で演じられることになって。
改めて感じるのは、古川慎さんという役者さんのお芝居の機微だったり、そういったもののお陰で、寂しかった前回の収録も、怖くはなかったな、みたいな。
彼への、まぁ……恥ずかしいですけど、信頼? みたいなもの。お芝居に於いての信頼は、正直、僕の方が思いっきり「あぁ好き!」って思ってる側なので(笑)。
そういった意味では作品に関わらず、どこいっても、「あぁまこっちゃん一緒なんだな」と思うとホッとするところがあります。
ほんとにね、ありがたい存在だなと思います。
古川 佐藤さんには、僕がBLで初めて絡みをやらせていただいた作品からお世話になっていて。
ゲームなどでご一緒させていただく機会も多く、様々なシュチュエーション・世界観の作品で掛け合いをさせていただいております。
佐藤さんが持ってらっしゃるポテンシャルって、底知れないなと僕は思っていて。というのは、役によって本当に雰囲気が違うんですよ。
直近で、「この人がラスボスなんじゃないか」と思いながら見ていた作品があったんですが。この話をするだけで、なんとなく気が付いてくれる方はいらっしゃると思うんですけど(笑)。
その時の、黒い靄(もや)のようなものを、口から発しながら…(笑)
佐藤 (笑)発しながら。
古川 それくらい迫力があって、けれど音圧が強いわけでもない。雰囲気を持った“響き”で視聴者、
そして掛け合っている人間を納得させていく。いい意味での「得体のしれない凄さ」は、僕にはないところですし……僕自身も十年ほど声優をやらせていただいて、徐々に徐々に色んな技術は上がってきたかなと思うんですけれど。絶対に佐藤さんには追い付けないなと思いながら、ずっと背中を見ている先輩です。
今日も、先ほどの話に出た役とはまた違ったカテゴリーのお芝居を聞いて「やっぱりこの人凄いな」と実感しました。
佐藤 今日も古川君は僕に缶コーヒーを奢ってくれたんで、すごくいい人です。好きです(笑)
古川 いやだって僕、演技省エネなんですもん(笑)。佐藤さんと釣り合い取れてなくねと思って!
佐藤 トゥンクってしました、トゥンクって。
古川 すいません、コーヒー100円ですいません(笑)。
佐藤 ご馳走様です!
古川 いやもう、ほんとに好きな先輩です。
佐藤 ありがとうございます。(お辞儀)
佐藤 ドラマCDの方も、有難いことに四作もやらさせていただいて。一作目の時から感じているのは、真田君という人が凄く、衝動が強い人なので(笑)、鹿嶋君に向ける愛情も分厚い。
ゆえに、僕が真田君という人物をどのくらい表現できるのか、というところは、一作目から「佐藤、試されています!」って常々思っていて(笑)。
その度に、出来る限りのことをやりたいなと思っているんですが、今回は今回で非常に幸せなエンディングというか、“これから”をすごく期待させていただけるシナリオでした。
原作はまだまだ続いていくということですので、……また、お会い出来たらいいな! というのと、まずはこの四作目、端から端まで楽しんでいただけたらいいなと思っております。ありがとうございました!
古川 この作品は、徐々に移ろっていくものがあり、その中でちょっと過激というか、刺激を求める部分がありみたいな。そういった変遷を楽しんでいく所もひとつの魅力なのかなと思います。
四作目は、非常に優しいけれど刺激が少ないわけではない。そんな芝居をさせていただいて、沢山のチャレンジや、色んな刺激をいただいた作品になりました。
各巻違った魅力がありますので、ぜひ一作目から順を追って聴いていただければありがたいです。今作で高校生編が完結となりますし、この卒業のお話を春に聴くのもいいんじゃないかなと思います。
(以下敬称略)
小野友樹 嘉久直人役、小野友樹です。
僕らの収録的には二年ぶりとのことで、前の流れを思い出したくてコミックスを読んだところ、「理性的パーバートロマンス」では渦中にいた彼らが、今作では「見届ける、見守る」ポジションにいることに成長を感じつつ、嬉しい部分だったな、と。
加えて……もうちょいイチャイチャしたかったなっていう部分も多少ありました(笑)。いや、今作ではイチャイチャっていう感じでもないかもしれないんですけど、ちょっと思っちゃいましたね(笑)。
増田俊樹 宇月翔役の増田俊樹です。
ずっとやきもきするような関係だった真田と幸が、今作でしっかりとお互いの気持ちを確認しあったというか。またきっとここから、更なる問題や困難とかもあるでしょうけど、また一つステージが変わった彼らの生活や人生が彩り豊かになるんだろうなと思うと感慨深さがありました。
更に、高校卒業という人生の一つの節目……そういった大事な時期を、この作品でサポートし見守れたことが、とても楽しかったですね。
小野 ぶはっ(笑)すみません、笑っちゃった! そんなお互い会わない間柄でもないから……。
よし、じゃあ僕の方から。
増田 あ、あるんですか。伝えたいこと(笑)。
小野 何より今回、俊樹とのフリートークを楽しみにしてて。
ドラマCD内のフリートークでも話したんですけど、「大学って卒業しなくてもよくない?」みたいなこと、言ってくれるんですよね。
まあ、一般的な観念では違うかもしれない。でも「そうじゃなくてもいいんだ」みたいな気づきを、ちょいちょいくれるんですよ、俊樹。
僕が「こうであらなきゃ」みたいに思っているところを、いい意味でサラッと流したり、違うんじゃないって言葉をくれることがあって。
たまに話した時もそうだし、フリートークとかでも、「あっ、確かに!」という気づきがあったりするので。
フリートークって、お仕事という前提があるからこそ、しっかり話せる貴重な時間だと思っていて、俊樹とこうやってたまにフリートーク……明確に、トークとして話した時に生まれる気づきみたいなの、は何気に楽しみにしてるんだ、ぜっ☆
あ、今のところ、語尾に「☆」で(笑)。
増田 じゃあアンサーとして。
僕も専門学校中にデビューしたので、卒業しなくてもよかったんですけど……僕もちゃんと卒業した口です。(笑)卒業しとかないと恰好つかないなって。
小野 ああ、なんだかんだね(笑)
増田 とりあえず、やることをやって卒業した口です。
小野 やっぱそうだよねー!(笑)
増田 ただ、声優の専門学校だったので、在学中にデビューしたらもう通えないって学校も分かってるじゃないですか。なので授業とかの単位も全部免除で。もちろん、自分が仕事をしている実績とその証明……要するに在学している他の生徒とはまた違うカリキュラムみたいなものは必要でした。そういった形で、僕は卒業の資格をもらっております。
小野 よかったよかった。見事にオチがついた。
増田 結果、やっぱり卒業するのは大事(笑)。ちなみに、一応短大卒の卒業資格です。
小野 ようござんす。
小野 お久しぶりでございました。個人的に、3作品目の修学旅行編というか、あの辺りで(真田に片想いをしていた女子の)相川さんが真田君に告白して、色々あってその夜の一幕……、コミックス上の、ほんとに些細な描き下ろしの一コマで、泣いてる相川さんを(相川さんの親友である)飯田さんが慰める、あの一コマがすごーく、どきゅんと胸にきて。
先生のセンスと言いますか。漫画として描くんじゃなくて、シーンとして、たった一コマを描くだけで伝わるものみたいなものがあって。
サブキャラクター含め、登場人物全員を大切にしているところがすんごい伝わって、ああ、これいいなって。
そこで一番泣きました。そこで一番グッときちゃって。
先生の描かれる筆致だったり感情表現っていうところに、グッと来るんだなってことを改めて思いましたね。
って、みんなへのメッセージというか「作品の中の僕の好きなところ」になっちゃったんですけど……。
あのシーンってちなみに音声ではやっぱ飛ばして…?
小野 ですよねー! 是非ちょっと、3作品目も聴いてください(笑)。
直人も翔も、チラッと出ていますので。
っていうか、言わずともみんな聴いているでしょうけれども。
原作も合わせて楽しんでいただきつつ、大学生編も進行中なので、また会えるといいな、という言葉を残して、今日のところはお別れしたいと思います。
ありがとうございました。
増田 長い時間かけて作品に参加させていただいて、メインキャラクターのほとんどが自分の想いをストレートに伝えるのが苦手だったり不得手なキャラクターが多い中で、翔という人間は特別、あっけらかんとしていて。
「理性的パーバートロマンス」で主役になった立場でも、「簡易的パーバートロマンス」で作品の進行役を担う立場でも、重要で特別なファクターになり得ているというか。特別な存在だなと思っていたので、騒がしくならない程度に騒がしくさせていただいたりだとか(笑)、ひとつのスパイスみたいな役回りなのかな、と思って楽しく演じさせていただきました。
翔自身は卒業こそしてないけれども、作品としてメインの二人の高校卒業に翔も親戚サイドとして参加していて、そういった結び付きがあるお陰か、僕らが参加してきたドラマCDというものが、ある種の大団円というか、まとまりがついたのかなと。
是非とも高校生編、最後の一枚を噛みしめながら聞いていただければ嬉しく思います。